もともとは護身術として伝承されてきた太極拳ですが、現在ではスポーツとして親しまれている競技にもなり、また戦うための武術としても知られています。それだけではなく、健康法としての地位も確立しています。中国では一般の人が太極拳を嗜む姿をよく見かけるようですが、日本ではまだまだマイナーな存在。激しい動きをせずに体内の気やエネルギーを使って健康維持を行なう事ができる太極拳の特徴を生かして老人のための施設などでようやく積極的に取り入れられるようになって来ました。

そんな日本において、子供たちが楽しみながら行うことができる太極拳があります。それが昆虫太極拳。ネーミングからしてなんとなく、伝統を無視したユニークな流派なのかな、なんて事が想像できると思います。そう、昆虫太極拳は、体全体を使って昆虫のポーズを取り、テンポにあわせながら体を動かすことで、ストレッチが出来たり筋肉を鍛えたりする効果があるのだそうです。

昆虫太極拳のポーズは、もちろん自分で考え出す事も出来そうですが、流派としての昆虫太極拳には、決められたポージングがあります。例えば、カマキリ、カメムシ、バッタ、ダンゴムシなどのポーズは基本形。何回もしつこいぐらいに練習してから、テンポにあわせて素早くポーズを決めれるように動きを早くしていきます。

これだけならあまり面白くもないのですが、なぜ子供に人気があるのかというと、音楽にあわせて取る昆虫のポーズ、その音楽が少しずつ早くなっていくのだそうです。音楽が早くなるというと、なんとなくイス取りゲームを連想してしまいますが、イス取りゲームでは音楽が止まるまでの時間が短くなるだけで音楽が早くなるというわけではありません。この昆虫太極拳では、音楽のテンポがどんどん早くなるので、そのテンポにあわせて素早くポージングを取る事が求められます。

小さな子供たちに大人気の昆虫太極拳。幼稚園や保育園などで楽しみながらできるスポーツとして広く受け入れられているようです。

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